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メトホルミンの抗腫瘍効果が複数の臨床研究で認められる(2012.4.19掲載)

糖尿病治療薬のメトホルミンに抗腫瘍効果があることはかねてから指摘されているが、先ごろ米シカゴで開かれた米国癌研究学会年次集会(AACR2012)では、前立腺癌(がん)および膵癌に同薬が有効とする臨床試験結果が初めて報告された。また、実験室や動物研究において、肝癌や口腔腫瘍、一部のメラノーマ(悪性黒色腫)に対しても有効性を示唆する報告も行われた。メトホルミンに対する癌領域での関心を高める知見ではあるが、専門家らは同薬が癌治療薬として推奨されるまでにはさらなる研究が必要としている。

カナダ、プリンセス・マーガレットPrincess Margaret 病院/大学ヘルスネットワーク(トロント)腫瘍内科医のAnthony Joshua氏らは、メトホルミンの前立腺癌に対する進行遅延効果を報告した。前立腺癌患者22人を対象に、前立腺摘出術前にメトホルミン500mgを1日3回、平均41日間投与した結果、摘出された前立腺内の癌細胞は細胞診のときと比較して増殖が遅くなっていることが判明した。今回の対象に糖尿病合併患者は含まれておらず、どのような病態がメトホルミン治療の恩恵を最も受けるかは今後の検討課題となるという。

一方、米テキサスMDアンダーソン癌センター(ヒューストン)のNavid Sadeghi氏らは、膵癌における生存期間延長効果を報告した。膵癌はしばしば糖尿病と一体となって進行するが、研究では、膵癌と糖尿病を合併する302例の医療記録をレビューした。117例がメトホルミンを服用していた。2年後に生存していたのはメトホルミン服用群では約30%であったのに対し、非服用群(対照群)では15.4%であった。また、平均生存期間もメトホルミン服用群では15カ月超であったのに対し、非服用群は約11カ月と死亡リスクが32%低減していた。ただし、生存に対するベネフィット(便益)は非転移患者に限定されたという。本結果は医学誌「Clinical Cancer Research」オンライン版に3月31日掲載された。

これらの研究結果について、米ジョージタウン・ロンバルディLombardi総合癌センター(ワシントンD.C.)血液・腫瘍学助教授の Michael Pishvaian氏は、「非常に希望が持てる研究結果である。メトホルミンは血糖値を低下させ、このことが癌患者の予後を改善すると考えられるが、癌細胞の増殖を阻害する他の作用機序を有している可能性がある。前向き研究における検討が次のステップとなる」と述べている。

他にメトホルミンの抗癌効果を指摘した研究の概要は以下のとおり:

・マウスにおいて、メトホルミンは肝腫瘍の増殖遅延効果を示した(米メリーランド大学医学部研究班報告)。

・マウスにおいて、メトホルミンが口腔癌病変の細胞数減少とサイズ縮小もたらした(米国立歯科衛生研究所報告)。

・一部のメラノーマにおいて、メトホルミンとあるタイプの抗癌薬の併用は、抗癌薬単独使用に比べてより高い抑制効果をもたらした(英Paterson癌研究所報告)。

(HealthDay News 3月31日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=663219
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